「与えることは、奪うこと」

むかし教育心理学を学んでいたとき、「与えることは、奪うこと」という言葉に出会いました。
最近、たまたまこの言葉を思い出す機会がありました。
私は、教育現場において「わかりやすいこと」は必ずしも子どもためになるとは限らないと思っています。
立体の切断でできる切り口の形をアニメーションで示したり、立体図形の見えない部分を3Dで回転させて見えるようにすることは、頭の中でイメージすることが難しいことを「わかりやすく」示してくれるとは思いますが、だからといって、イメージする力を伸ばしたことになるでしょうか。わかりやすさを求める風潮は、どうも子ども成長の機会を奪っているように思えてなりません。
「宿題の1番と2番と3番と4番がわからないから教えて?」
「これはね、こんな線分図をかいてみると…、ほら、よくわかるでしょ!」
「なるほど、ありがとう!」
これでは、せっかく宿題を悩み抜くことで成長する機会を奪ってしまったにすぎません。
時間効率を求める教育サービスの名の下、子どもと指導者の接点でこのような場面が至る所で見られます。
「自力でできること」は助けない。
「ちょっとしたサポートやヒントがあればできること(発達の最近説領域といいます)」は、一時的に足場かけ(スキャフォルディングと言います)を行いあとは見守る。
「今の自分では手に負えないこと」は、無理せず今やらなくていい、という判断を示してあげることも時には必要
受験が目前に迫っている受験生ならやむを得ない場面もあるかもしれませんが、時間的余裕があるのなら、
子どもの「今」をしっかり見極め、学ぶこととゆっくり真っ直ぐ向き合えるようにしてあげたいものです。